2008/12/03

優秀な作文の紹介(受賞作品)

 毎年、各協会や各法人から夏休み前に多くの作文コンクールの応募案内が届きます。
国語科では、夏休みの宿題で、それらの応募作品の中から、常々、自分が考えているテーマや、意見の発表の場として、題材を各自が選び、作文に取り組みます。その結果、今年度も全国や近畿レベルで優秀な成績を収めています。順をおって紹介していきます。

第4回 関東学院大学エッセイコンテスト「心にのこる最高の先生」佳作(全国)

『思い出の背中』   細江 優希

 私の思い出の先生は、小学校五、六年の時の担任の先生です。名前は、寺居先生といいます。

寺居先生は、五十くらいの、前からこの小学校にいるベテランの先生です。私は、五年の時クラス替えで、初めてこの先生と会いました。最初に先生を見た感想は、(ちょっと怖そうな先生だな・・・)でした。
しかし、昼食の時間、先生は言ったのです。「よし、今日の給食は、外で食べよう!」私は、へ?と思いました。きっと他のみんなも、そう思っていたに違いありません。だって、給食を外で食べたことも無いですし、もちろん、食べた人なんていなかったからです。それでも、先生命令は先生命令です。私達は、(うそぉ・・・)と思いつつも、協力して台や食器を運び、外で食べたのでした。初めて外で給食を食べた感想は、おどろきつつも新鮮でおもしろく、楽しい時を過ごせたのでした。そして私も、『この先生はおもしろそう』と、思うことができました。

 そして、そこから寺居先生との学校生活が始まり、たくさんの出来事がありました。

 先生が初めて絵をほめてくれたり、宿題を忘れて怒られたり、縄とびで新記録を出せたり・・・。 そして、時には、寺居先生が怒りっぽくて、怖くなった時がありました。・・・でも、どんな時でも、放課後のあの時間だけは、先生のことが好きでいられたんです。 その時間は───肩叩きでした。

 始まりは、私の一言からでした。私は放課後、つかれていそうな先生の背中を見て、「先生、肩叩きでもしましょうか。」と言いました。先生は、とても喜んでくれて、それから毎日して欲しいと言ってくれました。先生の肩はいつでも何度叩いてもかたいままで、私の目には毎日くたびれた先生がうつっていました。でも、やっていると先生はかならず喜んでくれるので、私は毎日肩叩きの時間が楽しみになりました。思えば、この肩叩きで、私と先生は親しくなったのかもしれません。
卒業式の日、先生は一人一人に握手をしてくれました。私は泣きませんでした。先生は、いつも通り、にこにことした元気な笑顔で送ってくれました。この方が、なんだか気持ち良かったです。私は寺居先生を、最後まで、二年間ずっと肩叩きし続けていました。先生の肩は、少しでも柔らかくなってくれたでしょうか。先生は、最後まで、熱血教師でした。
それから二年たち、今、私は中学二年です。寺居先生には、めったに会うことはありません。しかし以前、学校の行事で、出身小学校の先生に花を届ける。という目的で先生に会いに行ったことがありました。私は、姿や性格が変わっていたらどうしよう、もしやめていたらどうしようと、ずっと不安でいました。しかし、職員室で待っていると、突然、「おー!細江さん!久しぶりやなぁ!」と声がし、ドアががらりと開き、寺居先生が出てきました。
先生は全然変わってなんかいませんでした。笑顔で迎えてくれる、いつもの先生でした。私は先生としばらくおしゃべりを楽しみました。中学校で何やっているか。勉強でつかれていないか・・・。おそい時間まで話した後、私は久しぶりに先生に肩叩きをしました。先生の背中は相変わらず大きく、広くて、何十年もがんばっている立派な先生の背中でした。私は一つずつ手に(おつかれ様)(がんばれ)の気持ちをこめながら叩きました。そしてそれが終わり、家に帰る時、先生はまたあの笑顔をして手をふって見送ってくれました。私は、久しぶりに先生を見て、本当に会えて良かったな。と思いました。先生にまた会う時、あの笑顔が見たいな。と願いました。
先生、今、つかれていませんか。また、肩叩き、やってあげてもいいですよ。いつもみたいにあの大きな背中をこっちへ向けてください、ね。

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