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21世紀グランドデザイン (第3次案)

創立の理念 (建学精神)

理事長 池田健夫

ヴオーリズの伝道の精神

ヴォーリズの伝道精神は、キリスト教未開の地に、独立・自給で神の国を建設することであった。 彼の信仰は「神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものは、みな加えて与えられる」(マタイによる福音書第6章33節)という信仰であった。

  • 1.宗教は異なっていても、まず人間としての深い思いやりを持ち、相手に真摯に接すること。
  • 2.自らの信仰生活によって信仰を証し、相手の選択・決断を待つこと。押し付けを避け、相手の主体性を尊重し、相手が「神の真理」に共鳴することを期待し、接触を続けること。
  • 3.こうした伝道を人に頼らず「独立・自給」で行うこと。
  • 4.創造主との接触、神の導き」により信仰共同体を築くこと。(神との繋がりが遮断されると、共同体形成は失敗する)

ヴォーリズの文化理解・接触の方法

  • 1.新しい習慣に出会うごとに、その習慣のよって来る理由を探求し、偏見なしに冷静に見極めること。
  • 2.解決が難しいと思われることでも解決可能であると信じ、困難な状況を創意工夫のよき機会とし、自由な発想で問題の解決に当たること。
  • 3.ヴォーリズは日本の風土に新しい建築様式を導入したが、同時に風土をよく研究し、その風土にあった工夫を凝らしている。(ヴォーリズ建築は韓国・中国にも及んでいる)

ー柳満喜子の教育理念

 1919年、ヴォーリズと結婚した一柳満喜子は、ヴォーリズの精神に共感し、その信仰に基づく教育事業に着手した。 満喜子は、「軒下にポリポリお八つを食ベながら何することもなく、たたずんでいる子どもたちに建設的な遊びの場を造る必要を感じ」、まずプレイグランドを開設し、それを1922年、清友園幼稚園に発展させた。(幼児教育の重視)

 満喜子の教育観は、4福音書を不動の教材とし、同時に「子どもたちの自由で自発的な協同」に関心を持ち、両者を統合しようとする実践にあった。 これが「イエス・キリストを模範とする人間教育」として提唱されてきた。(満喜子は、「友のために命を捨てる、これより大いなる愛はない」というみ言葉を究極のモデルと考えた)

 この教育理念は、幼稚園・小学校では、「よく見る目、よく聞く耳、よく考える頭、よく働く手足の育成」として具体的に示され、中学校・高等学校では、「自己統制カのある自由人の育成」「独立・自主・創造力に富む人間の育成」「愛と信仰を持った知性豊かな国際人の育成」として示されている。

吉田悦蔵「女学校設立」の考え

 近江兄弟社創立者のひとり、吉田悦蔵は、当時メンソレータム工場で働いていた若い女性たちのために「幸福増進委員会」を組織して女性の教育・福祉のために次のような目標を掲げて勤労女学校を始めた。

運営5原則

  • 1.建学精神に基づく教育:本学園教育の中心的意義は、学園訓「地の塩、世の光」に表現される。教職員は常に「地の塩、世の光」の意味を児童・生徒に語る。 さらに、児童・生徒の発達段階に応じて、それぞれの賜物を大事にし最大に発展させること、生命を尊び他者を思いやる心を育てること、平和を実現すること、自主・自律・連帯・奉仕の力をつけることを具体化する。
  • 2.自己責任:「自主・自律」は「自己責任」を伴う。 「自己責任」は児童・生徒の発達段階に応じて、また子供・大人の別に応じて課せられる。基本的に人間は過ちを繰り返しながら成長するものであり、反省すれば許される。 教職員の責任はきわめて重く、職責に応じて課せられる。組織的責任、経営的責任も明確にする。
  • 3.全学合意の形成:近江兄弟社学園においては、評議員会が学園関係者の総意を示すもっとも民主的な機関であると認められる。 学内すべての会議・委員会は、「一致点の形成」のために努力しなければならない。最終決定は理事会においてなされる。
  • 4.暴力否定、平和主義:民主主義の基本的な目標は暴力を根絶することである。最大の暴力は戦争であり、暴力否定は平和主義につながる。
  • 5.情報公開:民主主義の重要な手法の一つとして「情報公開」がある。情報公開は、公開する側の自覚・認識・責任感を深める手段でもある。

キリスト教教育

 創立理念(建学精神)をしっかり踏まえて継承し、また学園を発展させることを前提として、近江兄弟社学園のキリスト教教育を改めて確認したい。

  • 1.すべての「いのち」を大切にする教育
  • 2.すべての信実な宗教を敬う教育
  • 3.国家主義に陥ることなく日本及び地域社会の伝統的な価値観を尊重する教育
  • 4.国際社会における異文化を深く理解し、敬虔な態度と隣人を配慮した「祈り」の教育
  • 5.社会生活上のルールを守り市民道徳を高める教育
  • 6.学園訓「地の塩、世の光」の具体的実践として「平和」と「奉仕」の教育

経営課題

 近江兄弟社学園の前身は近江ミッション教育事業部と言い、清友園幼稚園・近江勤労女学校・近江向上学園を運営していた。 戦後、法的に組織整備され、それぞれ学校法人・財団法人となるが、その根本精神を維持して財団から学園への資金提供は続いた。
1975年で財団の資金提供は途切れるが、その理由は、前年クリスマスイブに株式会社が倒産し、財団はその中心的収入源のメンソレータム製造販売権を失ったことにある。 折しも私立学校振興助成法が成立し、財団の資金提供に匹敵する補助金が交付されることになったが、当時の生徒数は幼・小・中・高・定合わせて779名、自立経営は不可能であった。 87年度、生徒総数1,379名となり、ようやく収支均衡した。

 生徒数が1,500名に達した89年頃から「自主自立」の経営方針のもとに長期的な施設設備計画に取組み、98年度には「各校園が自立的に経営する」方向性を提案した。
生徒総数は99年度の1,695名をピークに、2006年度は1,501名まで減少したが、2007年度は保育園開設という新しい条件のもと1,687名まで回復した。 学園がマンモス化することは避けたいが、教育条件や教職員の待遇を維持するために1,600名(総定員数2,128名に対し75%)は不可欠であり、施設設備計画を遂行するために1,800名(同85%)は欲しい。 生徒確保のために「地域密着型学園づくり」を提唱している。

 今後、国・地方自治体の財政難が一層深刻化し、補助金が削減される傾向があるが、教育水準を維持発展させるために、 1.各校園の定員確保、2.各運営団体の自立経営、3.施設設備のための計画的基本金組入(積立)、4.対費用効果を考えた予算配分、5.客観的財務分析による経営指標の設定に努める。 2009年度に学費改定を行う(全校生)。

 近江兄弟社グループ事業体の名称変更の流れに伴い、学園においても法人名には「近江兄弟社」を、校名には「ヴォーリズ」の名を冠したい。

 2003年、新幼稚園舎建設と共に「こどもセンター」と称して延長保育等の充実に取り組んで来た。2004年に開始した認可外保育園は、2007年には認可施設「星のひかり保育園」に発展した。今後、「幼保一元化」という国民的課題を担い、認定こども園に進める。
2008年度より近江八幡市金田東保育所の移管を受けて、地域の期待に応えたい。
義務教育部門は六三制の枠組みを越えた再編成が求められており、中等教育の多様化に応じた施策も必要である。
高・大連携は特別推薦入試制度の域を超えて進められており、大学側から求められる水準に達する生徒層の確保・育成が課題である。

施設設備計画(将来構想)

 2006年に本館を建設し、ほぼ学園の全体像が見えて来た。昭和初期の建造物(登録文化財)から新校舎群まで、全体にヴォーリズデザインの伝統を受継ぐキャンパスが出来つつある。引続き、体育館建設用土地取得に全力を挙げ、取得次第、建設に着手したい。
横断歩道橋、スクールバス乗降場、小・中・高連携校舎、小学校舎更新、認定こども園整備、新規事業等々、施設設備の課題はエンドレスである。

 《70周年+3ヶ年事業、1991~99年度》に12億円。《80周年記念事業、2000~03年度》に11億3千万円。
《ヴォーリズ100年記念事業、04~07年度》に約16億円投入予定。
《将来構想、08~22年度》は約20億円と見ている。従って、1991~2022年の30年間の施設設備事業費は約60億円となる。60億円という数字は、通常、高等学校1校を開設する金額であるが、近江兄弟社学園はそれを30年かけてゆっくり行うわけである。

近江兄弟社学園 〒523-0851 近江八幡市市井町177 TEL.0748-32-3444 FAX.0748-32-3979